Foreign Domestic Helpers

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(日曜日のCentralで、つかの間の休日を楽しむアマさんたち)

家捜しをしていた週末。見に行ったほとんどの物件で、物置のような小さな部屋があるのに気がついた。
窓がない、3畳程度の空間。申し訳程度に水道がついている場合もあれば、二段ベッドを押し込んで下は物置にしていることもある。

「そう、これがアマさん(外国人メイド)部屋ね。まだお子さんいらっしゃらないから雇わないのであれば、物置にしておけばいいのよ」
朗らかにいうエージェントの方。私と夫は顔を見合わせてしまった。
いくら、それがここでは普通のことであっても、この、物置のような部屋に人を住まわせるということは、「使用人」を持ったことがない私たちにとっては、なんというか、ひどく残酷なことのような気がしたのだ。
(まあ、思い返せば、ドラえもんだって押入れに住んでおりますが。。。)




アメリカ在住中はメキシコなどのラテン系労働者(不法入国含む)によって外食や農業が支えられていることを感じていたが、ここ香港では、働き盛りの多忙な生活と高い生産性を外国人メイドが支えている。香港では、1970年代から家庭を持つ女性達の就業が盛んとなって、フイリピン人メイドを雇い入れる家庭が急増したという。その後インドネシアからも就業者がふえ、今は約29万2000人の外国人メイドが働いているといわれ、最近ではフィリピン人とインドネシア人に加え、たまにタイ人、スリランカ人もいるらしい。

日曜のことで、Midlevelsのアパート群をいくつか見て、Centralに降りてくると、インドネシア系とフィリピン系の女性で町があふれていた。日曜がその、29万人のメイドさんの休日で、毎週末まるでお祭りのような光景が繰り広げられる。Centralのブランドショップ街のどまんなかにレジャーシートをひき、お弁当を広げ、自分の言葉で友人たちといきいきと話す女性たちの群れ。あの狭い部屋から日曜日だけは開放され、自由を楽しむのだという。

あの窓のない部屋、わずかの自由。それでも彼女たちがここで働くことを選ぶのは給与水準の差による、という。
香港政府規定の外国人メイドの最低賃金は3860HKドル/月。日本円で4万円弱。フィリピンで一般事務職の仕事が10000ペソ/月。日本円で2万円程度。フィリピンでトップの大学の卒業生をレアジョブがどんどん雇える事情がここにある。大卒でもこの状況、十分な高等教育を受けることができなかった女性にとって香港でこの金額のお給料をもらい、しかも生活費は雇い主負担というのは、とても魅力的なのだろう。

アメリカの会計事務所で働いていたとき、同僚でフィリピンからトランスファーで来ていた女性たちがいて親しくしていたのだけど、彼女らが全員、何が何でもアメリカに残ろうとしていたこと、1年に1回だけの帰郷のためにこつこつとお金を貯めていたのを(帰ると、一族郎党を毎日もてなし、お金を配って歩かなくてはいけないそうだ)思い出す。彼女たちは、あの国で、とても優秀で、しかも幸運で、チャンスをつかんだ女性たちだったのだな。

で、先月、このような裁判の判決がでて、香港では大騒ぎになった。

香港の外国人メイド、永住権裁判で勝訴

「香港の法律では、外国人は7年間継続して住むと永住権を獲得することができるが、メイドは特例として除外されていた」
「香港高裁は9月30日、外国人メイドの永住権獲得を禁止する法律が、香港の憲法にあたる基本法に違反するとの判決を言い渡した」

ということで、この判決の結果として外国人メイドの永住権獲得が可能になれば、彼女たちが永住権をとって、家族を国から呼び寄せることができるようになる。これは、香港にとっては大幅な社会保障コストの増加につながる、ので、ほとんどの香港市民は反対している。最終的にどういう決定が下されるのかまだわからない。仮に認めるとしたら、なんらかの調整がされるのだろうけれど。

自分の生活の中でみえることだから複雑な気持ちを味わうが、先進国と途上国の、賃金差を前提にした現実の単なる一例で、仕事で私が日本の工場をオフショア化してコストを下げる、というのを当たり前に推進してた、のと何も変わらない現実なのだとは思う。

私は、ここで子供を持ったとして、働き続けることを選ぶだろう。そうしたら、外国人メイドを雇って、月4-5万円で家事や子供の送り迎え、をまかせることも現実的な選択肢になるだろう、というか、実行しないと自分が仕事上は確実にBehindになるのだろうから、ここでは。

まだうまく整理ができていないけれども、香港という都市が、日本で感じてきたよりもずっと生々しく、世界と関わりながら貪欲に成長しているのを感じる。
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by lat22n | 2011-11-02 15:02 | Hong Kong


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